熊本地震「消費税10%増税先送り」向けて衆参ダブル選挙が濃厚

2017年4月予定の消費税10%増税は先送りになる可能性が高まっています。

もともと消費税の10%の増税は2015年の秋に実施予定でしたが、8%増税による景気の低下からの回復が遅れていることを理由に、1年半の先送りとなりました。安倍首相が2014年に増税の再起送りを決断した際には、賛否を有識者から集める「点検会合」を開催したり、最終的には衆院解散により、是非を国民に問うという形をとりました。

現在、安倍首相は「2017年の増税実施」という態度に変わりはありませんが、その裏でこの2014年とまったく同じような行動をとっており、内心では消費税の先送りをしたいという考えが見え隠れしています。また、もともと消費税増税を立法した民主党は、維新の党との合併を決定し「民進党」となりますが、現在は態度を一変し消費税10%延期を主張しています。

もはや、10%消費税先送りに反対するものがいないというのが現状ではないでしょうか。

安倍首相の思惑、野党の動きなど、詳しく調査してみました。

スポンサーリンク

熊本地震により消費税増税先送りか

熊本地震では震度7という非常に強い揺れを記録し、地割れや建物の崩壊などで大きな被害がでています。

熊本地震の発生によって「消費税増税の先送り」が巷で噂となっています。というのも、安倍首相は従来から「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施する」と発言していました。

つまり、震度7という大地震が発生した今、消費税増税の先送り理由ができてしまったのです。

言動とは裏腹に、安倍首相はもともと10%への消費税増税には反対という姿勢でした。

熊本地震【速報】被害まとめ

8%増税の家庭へのダメージはどれくらいだったのか

日本のGDPの6割は個人消費が占めており、増税による消費の縮小でGDPが下がるのは過去の例からも明らかです。アベノミクスの目標として、賃金アップを掲げてはいますが、一部の大企業を除いてほとんど給料は変わっていないです。

realemp20160317

これは実質賃金の推移グラフです。実質賃金とは、その時の物価でどれだけ物を買えるのかを加味した数字です。給料が300万円から30万円上がっていても、物価が10%上がっていれば、実際に買えるもの変わりませんよね。経済学に詳しくない人でも、このグラフを見れば明らかに「悪い」というのはわかります。

nenshu2014

5%から8へと3%の消費税増税をしたのに、給料が上がっていなければ、実質3%分の買い物ができなくなります。3%くらいなら変わらないのでは・・・と思う方は、具体的な数字として計算してみましょう。日本の1世帯の年収の中央値は415万円です。中央値とは、実際の体感に近い値とされ、統計学でよく引用される値です。年収がAさん300万円、Bさん400万円、Cさん400万円、Dさん500万円、Eさん1500万円の場合、平均値では620万円となります。これでは、AさんBさん、Cさん、Dさんにとってそんなにも貰ってないよと思ってしまいます。中央値はもっとも真ん中にいる人、つまり400万円になります。400万円が中央値だと言われれば、この5人のうち多くの人が納得しやすいです。

日本の1世帯の年収の中央値は415万円ですが、給料のすべてを消費するわけではありませんから、仮に300万円を使うことにします。今回は例なので所得税などを無視します。もし消費税が5%であれば、285万円の買い物ができ、15万円が消費税となります。しかし、消費税が8%になってからは、276万円分のものしか買えなくなり、24万円が消費税に当てられます。年間を通してみると、9万円も余分に消費税をはらうことになりました。

9万円あれば生活水準も大きく変わります。1ヶ月に割ると7500円になりますから、もう少し良い物件に住めるかもしれません。月に1回家族サービスで外食することもできます。たまには夫婦でミュージカルを見に行く、といった贅沢もできます。・・・できました、というべきですね。3%の増税は、家計にとって非常に大きな負担となっています。

もし消費税が10%に引き上げられたら、1年間で30万円を消費税として徴収されることになります。5%の時と比較すると、15万円年収が下がったと言ってもよいでしょう。月給でいえば、1万2500円の減給です。月給が1万2500円上がるには、3~5年勤める必要があります。

便乗値上げで実際はさらに負担が大きい

僕は8%の増税の負担は、計算上の3%よりも実際は大きいと感じています。というのも、8%増税とともに、税込み価格の規制が緩和され、「便乗値上げ」があったからです。

以前は、ラーメンを1杯700円(税込み)で食べられました。しかし増税後は、ラーメン1杯700円(税抜き)という店が多いです。税込み表示の規制がされていた際は、端数計算の手間をなくすためにも、税込みできりの良い価格にするのが一般的でした。しかし税込み表示の規制がなくなってからは、税抜き価格で表示し、レジで消費税分を上乗せする店が増えています。

700円(税抜き)のラーメンは、実際は756円ですから、実質8%の値上げです。3%の増税分を加味しても、以前より5%分値上げとなっています。300円のコーヒーが330円に8%を上回る値上げ、100円のジュースを110円と実質2円の値上げなども行われています。

1円や2円なら変わらないと思う方もいるかもしれませんが、塵も積もれば山となり、1年で何十万円という損になります。1年の消費が300万円の家庭で8%の値上げとなれば、年間24万円分のモノやサービスが買えなくなます。月給が2万円下がったとも言えます。

消費税はなぜするの?増税は効果が無い・・・?

そもそも消費税の増税をする必要性とは何でしょう?国の公式発表はこのようになっています。

Q:なぜ所得税や法人税ではなく、消費税の引上げを行うのでしょうか?

A:今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。

また、ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(注)の税収が続いており、税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。

引用:財務省 消費税引き上げの理由

つまり、消費増税の理由はこういうことになります。

  • 少子高齢化による税収減のため
  • 社会保障財源のため
  • 若者だけでなく、高齢者にも平等に負担させる
  • 所得税・法人税は減収傾向
  • 消費税は安定税収

日本は少子高齢化によって、2045年には1億人を下回り、2055年にはさらに9000万人を割り込むと予想されています。また、2060年には人口の40%が65歳の高齢者となるという予測もあり、少子高齢化が深刻です。単純計算をすると、現在では労働者5人で1人の高齢者を支えているところ、50年後には3人の労働者で2人の高齢者を支えることになります。

働く人が少ないのに、支えの必要な高齢者が増えているので、増税で差分をなくそうというわけです。こう言われてしまうと、仕方のないことのような気もします。

ただ、この理論には大きな穴があります。「消費税は安定税収」というのは大嘘です。

前項で紹介した通り、消費税を上げることで家庭への負担は大きくなります。消費税が上がれば、消費を減らそうと考える人も増えます。

消費増税→消費減→企業収益減→給料減→消費減→・・・

このように、負のスパイラルとなります。消費が減れば企業の収益も減り、給料も減る。さらに税収も減ります。減った税収はまた消費税で補てんするのでしょうか?実際にそのような増税が行われ続けています。
zeishu-suii
参考:財務省 主要税目の税収(一般会計分)の推移

これは、日本の税収の内訳の推移です。消費税の増税のタイミングで、その他の税収が大きく下がっているのが確認できます。消費税が導入・増税されたのは平成元年(3%)、平成9年(5%)、平成26年(8%)です。消費税の黒いグラフが大きく上がっているのが、増税時ですね。

このグラフを見ると、消費税以外の税収は軒並み下降しています。企業はバブル崩壊後、なんとか回復しているものの、消費増税(平成9年)をきっかけにまた落ち込みます。さらに平成18年には14.9兆円まで成長しましたが、リーマンショックの影響で大きく衰退します。この間、一般家庭はないがしろにされ続け、リストラや給料減、正規雇用を減らし非正規雇用が増えるなど、所得はピーク期の半分となっています。

消費税を上げる代わりに、他の税収が落ちているのでは、結局税収は増えていませんから意味がありません。それどころか、所得税の税収が減っているということは、つまり給料が減っています。財務省は「消費税は安定税収」といっていますが、給料が減っているのに消費税が変わらないということは、つまり貯蓄を食いつぶして生活を維持している人が増えているということです。恐ろしいですね。

消費税10%増税先延ばしのシナリオ

難しい経済の話はともかく、消費税が増税すれば、景気は悪くなるというのは誰にでも分かります。安倍首相はアベノミクスの成功(少なくともスタート時は)によって強気になり、8%への増税を断行しましたが、結果的には失敗だったというのが本音でしょう。

安倍首相は、2012の当時の野田首相との討論で、消費増税を約束する代わりに衆院解散を迫ったため、筋を通すためにも増税は避けられませんでした。国民から言わせてみれば、そもそも消費増税自体マニフェストにもなく、野田首相が勝手に持ち出してきたので、筋も何もないのですが・・・

とにかく10%の増税でこれ以上景気が落ち込むのも安倍首相にとっては望ましくないです。それに、1人の首相が2度の大きな増税をするというのは、例がありません。もし10%の増税を行うことになったら、その時は安倍首相の政治生命の終わりを意味します。建前では安倍首相は法律通り、2017年4月の増税をするとしていますが、内心では先送りを望んでおり、実際にそれは行動に表れています。

ノーベル経済学者が増税「先送り」を提言

2016年3月16日に、5月に開催される伊勢志摩サミットに向けて意見を聞くとして「国際金融経済分析会合」を開きました。会合にはノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授も招かれていました。スティグリッツ教授は会合で「2016年は世界経済が去年よりも低迷する」という見方を示しており、安倍首相に対して「消費税増税の見送り」を提言しました。

この会合にはテレビや新聞社などメディアが集い注目を浴びることは前もって分かっており、「ノーベル経済学者が増税先送りを進言した」という事実を作ることが本当の目的だったのでしょう。

ノーベル経済学者の意見であれば、安倍首相が立場を変えて増税先送りをしても、筋を通すことができます。分析会合は17日、22日にも開催され、デール・ジョルゲンソン米ハーバード大教授、元日銀副総裁の岩田一政・日本経済研究センター理事長、ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授も招かれています。

2014年の増税先送り決定時も、同様に、有識者からの意見を求める会合を何度か開いており、足場固めを進めているのは明らかです。

衆院ダブル選挙は与党有利

参議院は2016年7月25日に任期が満了し、それまでに選挙が行われます。この参院選に向けて、安倍首相は衆議院を解散し、ダブル選挙になることが濃厚となっています。

2014年にも安倍首相は「消費税増税の先送りの是非を問う」として衆院解散をしています。もう一度同じように解散してもおかしくありません。

ダブル選挙となれば、争点の中心となるのは日本経済です。「消費税10%増税を先送りにしたい」と言えば、反対する国民はいないです。与党にとっては、すでに勝ったも同然の選挙です。

選挙日は日曜日と決まっているので、10日、17日、24日のいずれかでしょう。

野党も消費税増税先送りに賛成

参院予算委員会で3日、野党側は来年4月の消費税率10%への引き上げをしないよう求め、安倍晋三首相は改めて予定通りの引き上げを強調した。

引用:野党、軒並み消費税10%延期主張 衆参ダブル選にらみ駆け引き激化

もともと消費税増税を言い出したのは民主党なのでおかしな話ですが、現在野党は消費税増税の先送りという立場をとっています。民主党と維新の党は合併が決まっており、衆参合わせて150議席をもつ野党が反対しなければ、もはや誰もNOとは言わない状況です。

安倍首相も本音では先送りにしたい、野党も賛成となれば、消費税10%増税の先送りは決まったも同然です。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ブログランキング・にほんブログ村へブログランキング投票にご協力ください!

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。